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USCPAを活用してオーストラリアで会計士に

グローバルな会計スキルを身につけたい方にとって、USCPA(米国公認会計士)資格は最も魅力的な選択肢の一つです。

特に、将来的にオーストラリアで会計士として活躍したいと考えている方には、USCPAが持つ国際的な通用性と相互承認協定制度が大きなメリットとなります。

オーストラリアは移民大国として知られ、会計士は永住権取得にも有利な職業として位置づけられています。

しかし、現地の会計士資格を一から取得するには時間とコストがかかるため、多くの方が効率的なルートを模索しているのが現状です。

そこで注目されているのが、USCPAの相互承認協定(MRA)制度を活用したアプローチです。

この制度を理解し活用することで、アメリカで取得したUSCPA資格を基に、オーストラリアの会計士資格を効率的に取得できる可能性があります。

本記事では、USCPAを活用してオーストラリアで会計士として働くための具体的な方法を、実際の事例とともに詳しく解説していきます。

永住権取得のポイントから実際の転職市場まで、オーストラリアでのキャリア形成に必要な情報を網羅的にお伝えします。

USCPAの相互承認協定(MRA)制度

USCPA資格の最大の魅力の一つは、国際的な通用性と相互承認協定(MRA:Mutual Recognition Agreements)制度にあります。

この制度により、USCPA資格保持者は協定を結んでいる国において、その国の会計士試験を再受験することなく、現地の会計士資格を取得できる道筋が開かれています。

相互承認協定制度は、会計専門家の国際的な流動性を高めることを目的として設立されました。

AICPA(米国公認会計士協会)とNASBA(全米州政府会計委員会)が各国の会計専門家団体と締結しており、グローバルな会計サービスの質の向上と、国際的なビジネス環境に対応できる会計専門家の育成を支援しています。

MRAを結んでいる国

2025年現在、USCPAが相互承認協定を結んでいる国は以下の通りです。

国名協定締結団体特徴
カナダCPA Canada北米地域での高い通用性
メキシコInstituto Mexicano de Contadores PublicosNAFTA地域での活用
南アフリカSouth African Institute of Chartered Accountantsアフリカ地域のゲートウェイ
オーストラリアCPA Australia、CA ANZアジア太平洋地域の主要市場
ニュージーランドChartered Accountants Australia and New Zealandオーストラリアと共通の制度
アイルランドChartered Accountants Ireland、CPA IrelandEU地域への足がかり

近年の動向として、2022年にアイルランドが新たに協定に加わった一方で、香港(2022年12月31日)とスコットランド(2024年8月)が協定から離脱しています。

これらの変化は、各国の会計制度や経済情勢の変化を反映したものです。

特に注目すべきは、日本がまだ相互承認協定を結んでいないという点です。

このため、日本の公認会計士資格と比較して、USCPAの方が国際的な活用範囲が広いという特徴があります。

MRA制度を活用した会計士資格の取得方法

相互承認協定制度を活用した会計士資格の取得は、各国によって要件や手続きが異なります。

共通しているのは、現地で一から会計士試験を受験する必要がないという点です。

しかし、その国特有の法律や税制に関する追加学習や、実務経験の要件を満たす必要があります。

オーストラリアの場合

オーストラリアには**CPA AustraliaとChartered Accountants Australia and New Zealand(CA ANZ)**という2つの主要な会計士団体があります。

CPA Australiaの場合、USCPA資格保持者が会員になるための要件は以下の通りです。

  • 現在の州委員会で良好な会員資格を維持していること
  • 標準的な審査経路を通じてUSCPAを取得していること
  • 統一公認会計士試験に合格していること
  • 学士号以上の学位を保持していること
  • 関連する実務経験要件を満たしていること

必要書類としては、Letter of Good Standing、Congratulatory Letter、学歴証明、身分証明書が求められます。

Letter of Good StandingはUSCPA登録州で発行し、Congratulatory LetterはNASBAに依頼します。

CA ANZの場合は、より厳格な要件があり、CA ANZメンバー2人からの推薦状が追加で必要となります。

この推薦状の取得が最も困難な部分とされており、オーストラリアでの人脈形成が重要になります。

ニュージーランドの場合

ニュージーランドの会計士団体であるCA ANZは、オーストラリアと共通の組織です。

USCPA保持者がCA ANZ会員になるための要件は以下の通りです。

  • GAA相互会員団体の良好な状態にある現在の正会員であること
  • 標準的な審査経路を通じてメンバーシップを獲得していること
  • 学士号以上の学位を取得していること

申請に必要な書類は、Letter of Good Standing、Congratulatory Letter、推薦状、学歴証明、身分証明書です。

ニュージーランドもオーストラリア同様、CA ANZメンバー2人からの推薦状が必要となるため、現地での人脈構築が成功の鍵となります。

カナダの場合

カナダでは2013年以降、会計士資格がCPA Canada(CPAC)に統一されています。

USCPA資格保持者がカナダのCPAになるための要件は以下の通りです。

  • 最低150単位の大学教育を受けていること(学士号以上を含む)
  • 30カ月の関連業務実務経験があること

特筆すべきは、USCPA資格取得後に2年以上の実務経験がある場合、条件を満たしているとみなされる点です。

これにより、他国と比較して比較的スムーズな資格移転が可能となっています。

オーストラリアの会計士資格取得とUSCPA

オーストラリアで会計士として活躍するためには、現地の会計制度や法律を理解し、適切な資格を取得することが重要です。

USCPAを基盤とした資格取得は、効率性とコスト面で大きなメリットを提供します。

USCPAがオーストラリアの会計士資格取得に有利な理由

USCPAがオーストラリアでの会計士資格取得に有利な理由は複数あります。

第一に、相互承認協定により現地の会計士試験を受験する必要がない点が挙げられます。

オーストラリアの会計士試験は高い難易度で知られており、現地で一から挑戦するには相当な時間とエネルギーが必要です。

第二に、USCPAで学習する国際会計基準(IFRS)の知識が、オーストラリアの会計実務に直接活用できる点です。

オーストラリアもIFRSを採用しているため、USCPAで身につけた知識がそのまま現地業務に生かされます。

第三に、英語での会計知識を既に習得していることが大きなアドバンテージとなります。

メリット詳細
試験免除現地会計士試験の受験が不要
知識の活用IFRS知識が直接応用可能
言語優位性英語での会計専門用語を習得済み
国際経験グローバルスタンダードの理解
コスト削減現地試験準備費用の節約
時間短縮資格取得までの期間短縮

オーストラリアの会計士資格取得までの流れ

オーストラリアでの会計士資格取得は、どちらの団体を選ぶかによって手続きが異なります

CPA Australiaを選択する場合、まず必要書類の準備から始めます。

Letter of Good StandingはUSCPA登録州の会計委員会に申請し、通常2-3週間で発行されます。

Congratulatory LetterはNASBAのウェブサイトから申請でき、こちらも数週間で取得可能です。

書類準備と並行して、オーストラリアの会社法と税法に関する学習を進める必要があります。

この部分は相互承認協定でカバーされていないため、追加の学習が必須となります。

CA ANZを選択する場合は、さらに複雑な手続きが必要です。

最大の難関は、CA ANZメンバー2人からの推薦状取得です。

これを克服するためには、オーストラリアでの人脈形成が不可欠であり、多くの方がワーキングホリデーや学生ビザを活用して現地での関係構築を図っています。

実際の申請プロセスでは、まず各団体のウェブサイトで相互承認申請フォームをダウンロードし、必要事項を記入します。

その後、準備した書類とともに申請料を支払い、審査を待つ流れとなります。

審査期間は通常3-6ヶ月程度を要し、追加資料の提出を求められることもあります。

USCPAを活用したオーストラリア永住権取得

オーストラリアは移民大国として多様な永住権取得ルートを提供しており、会計士は永住権取得に有利な職業の一つとして位置づけられています。

USCPAを活用することで、より効率的な永住権取得戦略を立てることが可能です。

オーストラリア永住権取得に有利なUSCPA

オーストラリアの永住権制度はポイント制を採用しており、年齢、英語力、学歴、職歴、資格などの要素が評価されます。

USCPAは会計士資格として認められるため、職業評価において高いポイントを獲得できます。

具体的には、会計士(Accountant)は技術移民職業リスト(SOL:Skilled Occupation List)に含まれているため、独立技術移民ビザの対象となります。

また、USCPAの取得により英語力の証明にもなり、総合的なポイント向上に寄与します。

さらに重要なのは、オーストラリアで会計士として就労することで、現地での職歴ポイントを積み重ねられる点です。

オーストラリアでの職歴は永住権申請において高く評価され、特に地方都市での勤務は追加ポイントの対象となることもあります。

永住権取得の方法

オーストラリアの永住権取得には複数のルートがありますが、会計士にとって最も現実的な選択肢をご紹介します。

技術者ビザ(サブクラス189 Skilled Independent)

サブクラス189はスポンサーを必要としない独立技術移民ビザです。

申請者は最低65ポイント(実際の招待ボーダーはより高い)を獲得する必要があり、以下の要素が評価されます。

  • 年齢(25-32歳で最高30ポイント)
  • 英語力(IELTS各セクション8.0以上で20ポイント)
  • 学歴(学士号で15ポイント、修士号で20ポイント)
  • 職歴(関連職種での経験年数に応じて最大20ポイント)
  • その他(配偶者のスキル、地方学習経験など)

USCPAを持つ会計士は職業評価を通過しやすく、必要ポイントの獲得において有利な立場にあります。

ただし、近年は招待ボーダーが上昇傾向にあるため、できるだけ高いポイント獲得を目指す必要があります。

就労ビザ経由

より確実な永住権取得ルートとして、就労ビザから永住権への切り替えがあります。

まず一時的な就労ビザを取得してオーストラリアで働き、その後永住権を申請する方法です。

このルートの利点は、現地での職歴を積みながら永住権要件を満たせることです。

また、雇用主のスポンサーシップにより、独立技術移民よりも低いポイントで永住権を取得できる可能性があります。

特に地方都市での勤務は、州政府ノミネーションの対象となることが多く、追加の永住権取得ルートを開拓できます。

就労ビザ取得へのUSCPAの活用

オーストラリアで会計士として働くための就労ビザにも、USCPAは大きな武器となります。

Subclass 482

Subclass 482(Temporary Skill Shortage visa)は、オーストラリアの雇用主がスポンサーとなる一時就労ビザです。

会計士は対象職種に含まれており、USCPAを持つことで雇用主に対する説得力が大幅に向上します。

このビザの取得要件は以下の通りです。

要件項目詳細
雇用主スポンサー認定された雇用主からのジョブオファー
英語力IELTS各セクション5.0以上(職種により異なる)
職歴最低2年間の関連職務経験
健康診断指定医療機関での健康チェック
無犯罪証明居住国での犯罪歴証明書
職業評価関連職業団体による技能評価

USCPAは職業評価において強力な証明材料となり、ビザ申請の成功率を高めます。

駐在経由

日本企業のオーストラリア現地法人への駐在も、一つの選択肢です。

USCPAを持つことで、国際的な会計知識を活用できる駐在候補者として評価されやすくなります。

駐在の場合、Subclass 457(現在はSubclass 482に統合)やSubclass 186(雇用主ノミネーション永住ビザ)の対象となる可能性があります。

駐在経由のメリットは、日本での職歴を活かしながらオーストラリアでの経験を積める点です。

また、日本企業との関係を維持しながら現地市場を理解できるため、将来的な独立や転職の際にも有利に働きます。

オーストラリア以外の選択肢

USCPAの相互承認協定は複数の国と締結されており、オーストラリア以外にも魅力的な選択肢があります。

個人の目標やライフスタイルに応じて最適な国を選択することが重要です。

カナダ

カナダは北米地域における重要な経済圏であり、USCPAホルダーにとって非常に魅力的な目的地です。

相互承認協定により、比較的スムーズにCPA Canada資格を取得できます。

カナダの魅力として以下の点が挙げられます。

  • アメリカに近い地理的優位性
  • 豊富な天然資源に基づく安定した経済
  • 多文化主義による外国人受入れの寛容さ
  • 充実した社会保障制度
  • 比較的取得しやすい永住権制度

**カナダの永住権制度(Express Entry System)**も技能ベースのポイント制を採用しており、会計士は対象職種に含まれています。

カナダの場合、フランス語能力があると追加ポイントを獲得できるため、第二外国語としてフランス語を学習することで優位性を高められます。

ニュージーランド

ニュージーランドは自然豊かな環境とワークライフバランスを重視する文化で知られています。

オーストラリアと同様にCA ANZが運営する会計士制度を持ち、相互承認協定の恩恵を受けられます。

ニュージーランドの特徴は以下の通りです。

特徴詳細
規模小さな市場だが専門性が重視される
文化ワークライフバランス重視
自然環境豊かな自然と アウトドア文化
永住権制度技能移民に対して比較的開放的
英語環境ネイティブレベルの英語環境
地理的位置アジア太平洋地域の中心

ニュージーランドの永住権制度も技能ベースであり、会計士は重要な職種として位置づけられています。

人口が少ないため競争が緩やかである一方、専門性と経験が重視される傾向があります。

MRA制度を活用した事例

実際にUSCPAの相互承認協定制度を活用してオーストラリアでキャリアを築いた方々の事例は、これから挑戦する方にとって貴重な参考資料となります。

オーストラリアの会計士資格を取得した方の声

松原利明さんは、USCPAを取得後に相互承認協定制度を活用してオーストラリアのCA資格を取得し、現地企業で財務部部長として活躍されています。

松原さんの経歴を詳しく見ると、外国語大学で英語を学んだ後、海外営業として社会人キャリアをスタートしました。

その後のキャリアを考える中でUSCPAの存在を知り、簿記や経理の知識がない状態から挑戦を決意されました。

重要なポイントは、USCPAライセンス取得後にオーストラリアの相互承認制度を活用した点です。

オーストラリアではUSCPAライセンスホルダーに限り、CA ANZが指定した大学でオーストラリアの税法と会社法のコースを修了することで、CA(Chartered Accountant)資格を取得できる制度があります。

松原さんはこの制度を利用して2015年にオーストラリアに移住し、現地企業に勤務されています。

現地企業の経理部門では、ほとんどの方が会計士資格保持者だったとのことで、USCPAから相互承認協定を利用した現地会計士資格の取得が、日本人にとって最適なルートであることを実証されています。

別の事例として、muramasaさんは23歳でオーストラリアに留学し、通訳・翻訳の大学院を卒業後、現地のIT企業で4年間勤務されました。

その後日本に帰国し外資系専門商社で働きながら、将来のオーストラリア移住を見据えてUSCPAの学習を開始されました。

勉強開始から2年後にUSCPAに合格し、現在は日本の監査法人で金融機関向けのアドバイザリー業務を担当されています。

USCPAはBIG4入所のチケットとしての役割を果たし、実際の業務でもFAR、BEC、AUDの知識をフル活用されているとのことです。

これらの事例から読み取れる成功要因は以下の通りです。

  • 明確な目標設定:オーストラリアでの長期的なキャリア形成を目指す
  • 段階的なアプローチ:まずUSCPAを取得し、その後相互承認制度を活用
  • 現地での人脈形成:推薦状取得やキャリア形成に不可欠
  • 継続的な学習:現地の法律や税制に関する追加学習
  • 英語力の重要性:会計知識と英語力の両方が求められる

まとめ

USCPAを活用したオーストラリアでの会計士キャリアは、相互承認協定制度という強力なツールを基盤として、多くの可能性を秘めています。

現在7カ国と締結されている相互承認協定により、USCPAホルダーは世界各国で現地の会計士資格を効率的に取得できる道筋が開かれています。

特にオーストラリアにおいては、CPA AustraliaとCA ANZという2つの選択肢があり、それぞれ異なるメリットと要件を持っています。

CA ANZの場合は推薦状の取得という課題がありますが、法定監査業務を行えるという大きなメリットがあります。

永住権取得の観点からも、会計士は技術移民の対象職種として高く評価されており、USCPAは強力な武器となります。

ポイント制の永住権制度において、会計士としての職業評価と英語力の証明は、必要ポイント獲得に大きく貢献します。

実際の成功事例が示すように、計画的なアプローチと継続的な努力により、USCPAを起点としたオーストラリアでのキャリア形成は十分に実現可能です。

これからUSCPAの取得を検討している方は、相互承認協定制度のメリットを最大限に活用し、グローバルな会計専門家としてのキャリアを築いていくことをお勧めします。

オーストラリア以外にも、カナダやニュージーランドなど魅力的な選択肢があるため、個人の目標と価値観に最も適した国を選択することが成功の鍵となります。