
USCPA(米国公認会計士)試験を受験しようと考えているあなたは、まず試験科目や制度について正確に理解する必要があります。
2024年1月から新しい試験制度が導入され、従来の4科目すべてが必須だった制度から、必須3科目と選択1科目の組み合わせに大きく変更されました。
この変更により、受験生は自分のキャリア目標や専門性に応じて科目を選択できるようになり、より戦略的な受験計画を立てることが可能になっています。
しかし、新制度になったことで「どの選択科目を選べばよいのか」「各科目の特徴や難易度はどうなっているのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。
本記事では、USCPA試験の最新の科目構成から出題形式、合格基準、効果的な勉強方法までを詳しく解説します。
これからUSCPA試験に挑戦する方はもちろん、既に学習を始めている方にも役立つ実践的な情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

USCPA試験の概要
USCPAとは
USCPA(United States Certified Public Accountant)は、アメリカの各州が認定する公認会計士資格です。
100年以上の歴史を誇る国際的な会計資格として、世界150か国以上で約40万人が取得しており、グローバルビジネスの現場で高く評価されています。
日本においても、2011年8月から国内での受験が可能になり、多くのビジネスパーソンがキャリアアップの手段として取得を目指しています。
USCPAの魅力は、会計・監査・税務の専門知識だけでなく、英語力の証明にもなる点です。
外資系企業や国際的な業務に携わる企業では、USCPAホルダーに対する評価が特に高く、転職市場でも有利に働くケースが多く見られます。
また、日本の公認会計士と比較して、実務レベルの基本的な知識が幅広く出題されるため、実際のビジネス現場で即戦力として活躍できる実践的なスキルが身につきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | United States Certified Public Accountant |
| 資格の種類 | 米国各州認定の公認会計士資格 |
| 取得者数 | 世界で約40万人 |
| 対応国 | 150か国以上 |
| 日本での受験開始 | 2011年8月 |
| 主な評価分野 | 会計、監査、税務、英語力 |
受験資格
USCPA試験の受験資格は、出願する州によって異なるため、事前の確認が重要です。
一般的には「学位要件」と「単位要件」の2つの条件を満たす必要があります。
学位要件では、4年制大学の学士号(Bachelor’s Degree)の取得が求められます。
ただし、一部の州では在学中の受験や、短期大学卒業でも受験可能な場合があります。
単位要件では、会計科目とビジネス科目で一定の単位数を取得していることが条件となります。
日本の大学を卒業した方の多くは、会計単位が不足しているケースが一般的です。
しかし、この問題は多くのUSCPA予備校が米国大学と提携しており、単位取得プログラムを通じて解決できます。
例えば、アビタスなどの専門校では、ブラッドリー大学と提携した単位認定試験を受けることで、不足単位を効率的に取得することができます。
- 学位要件:4年制大学の学士号(一部州では在学中も可)
- 単位要件:会計科目とビジネス科目の規定単位数
- 日本人の課題:会計単位不足が多い
- 解決策:予備校の単位取得プログラム活用
- 複数教育機関:複数の大学の単位を合算可能
- 州ごとの違い:出願州により要件が異なる

USCPA試験の科目(2024年1月から)
必修科目
2024年1月から開始された新USCPA試験制度では、すべての受験生が必ず合格しなければならない必修科目が3科目設定されています。
これらの科目は、公認会計士として必要な基礎的な知識とスキルを問うものであり、専門分野に関係なく全員が習得すべき内容となっています。
必修科目は**FAR(財務会計)、AUD(監査及び証明業務)、REG(税法及び商法)**の3つで構成されており、それぞれが会計士業務の根幹を成す重要な分野をカバーしています。
これらの科目は相互に関連しており、特にFARで学ぶ財務会計の知識は、他の科目を理解する上での基礎となります。
したがって、学習順序を適切に計画することが合格への近道となります。
新制度では、従来のBEC(ビジネス環境及び諸概念)が廃止され、その内容の一部が各必修科目に分散されています。
| 科目名 | 英語名 | 試験時間 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| FAR | Financial Accounting and Reporting | 4時間 | 財務会計、政府会計、非営利組織会計 |
| AUD | Auditing and Attestation | 4時間 | 監査手続き、監査報告書、内部統制 |
| REG | Taxation and Regulation | 4時間 | 米国連邦税法、ビジネス法、職業倫理 |
FAR(財務会計)
FARはUSCPA試験全体の基礎となる最重要科目であり、多くの受験生が最初に学習を始める科目です。
出題内容は企業会計が約8割、政府会計と非営利組織会計が約2割となっており、日商簿記2級程度の知識があると理解しやすい内容となっています。
FARで最も重要なのは仕訳のスキルです。
取引を見たら自然に仕訳が思い浮かぶレベルまで習熟することが求められ、これができないと他の科目でも解けない問題が出てきます。
計算問題が多く、ボリュームも大きいため、学習には時間がかかりますが、他の科目の基礎となるため手を抜くことはできません。
学習のコツは、講義を軽く聞いた後はすぐに問題演習に取り組み、反復練習を重ねることです。
暗記で解ける問題は少なく、理解に基づいた応用力が試される科目のため、表面的な学習では合格は困難です。
| 出題分野 | 出題比率 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 財務報告 | 30~40% | 財務諸表の作成、会計基準の適用 |
| 貸借対照表の勘定科目 | 30~40% | 資産、負債、純資産の会計処理 |
| 取引の選択 | 25~35% | 各種取引の仕訳と会計処理 |
AUD(監査及び証明業務)
AUDは多くの日本人受験生が苦手とする科目として知られており、「AUD沼」という言葉があるほど、なかなか合格できずに苦労する受験生が多い科目です。
出題内容は監査や証明業務が約8割、職業倫理が約2割となっており、暗記だけでは対応できない深い理解が必要な科目です。
AUDの特徴は、抽象的な問題が多く、実務経験や英語力が乏しいと苦戦しやすい点です。
また、計算問題が少なく、監査の概念や手続きに関する理論的な理解が重要となります。
合格のためには、監査プロセス全体の流れを理解し、個々の監査手続きがどの段階で何のために実施されるのかを常に意識しながら学習することが大切です。
監査報告書の基本形を暗記し、各種報告書との違いを明確に理解することも重要なポイントです。
- 倫理、職責、一般原則:15~25%
- リスクの評価と計画的な対応の策定:25~35%
- 更なる手続きの実施と証拠の入手:30~40%
- 結論の形成と報告:10~20%
REG(税法及び商法)
REGは米国連邦税法が約7割、ビジネス法と職業倫理が約3割の出題比率となっており、暗記要素が多い科目です。
税法部分では深い理解が必要ですが、ビジネス法部分は比較的浅い理解でも対応可能なため、メリハリをつけた学習が効率的です。
REGの学習で重要なのは、会計と税務の違いを明確に理解することです。
特に「Basis」の概念の理解と整理、申告書のフォーマットに慣れることが合格への鍵となります。
ビジネス倫理と職業責任は出題比率が15%と高いにも関わらず、比較的簡単な問題が多いため、確実に得点源にすることが重要です。
REGは暗記科目の性格が強いため、最終科目として位置づけ、短期間で集中的に仕上げる戦略を取る受験生が多いです。
| 出題分野 | 出題比率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 個人への連邦税の課税 | 22~32% | 個人所得税、所得控除 |
| 企業への連邦税の課税 | 23~33% | 法人税、申告書作成 |
| ビジネス法 | 15~25% | 契約法、会社法、UCC |
| 倫理・職務責任・連邦税務手続き | 10~20% | AICPA倫理規定、税務手続き |
選択科目
新USCPA試験制度の大きな特徴は、3つの選択科目から1科目を選んで受験するシステムの導入です。
選択科目は**BAR(ビジネス分析及び報告)、ISC(情報システム及び統制)、TCP(税法遵守及び税務計画)**の3つが用意されており、受験生は自分のキャリア目標や専門性に応じて選択できます。
選択科目では、必修科目と比較してより専門的で詳細な知識が問われるため、十分な準備が必要です。
どの選択科目で合格しても、USCPA資格としての価値に違いはありませんが、将来のキャリアを考慮して選択することが推奨されます。
また、一度選択した科目で不合格になった場合、別の選択科目に変更して受験することも可能です。
この柔軟性により、受験戦略の幅が広がっています。
| 選択科目 | 対象となるキャリア | 関連する必修科目 |
|---|---|---|
| BAR | 財務分析、管理会計、アドバイザリー | FAR |
| ISC | IT監査、情報セキュリティ、データ管理 | AUD |
| TCP | 税務コンサルティング、税務計画 | REG |
BAR(ビジネス分析及び報告)
BARは最も多くの受験生に選ばれている選択科目であり、2024年第1四半期の選択状況では約86%の受験生がBARを選択しています。
出題内容は、**ビジネス分析が40~50%、技術的な会計と報告が35~45%、州および地方自治体の会計が10~20%**となっています。
BARの人気の理由は、FARとの関連性が高く、新規学習範囲が比較的少ないことです。
財務諸表分析、管理会計手法、高度な会計処理など、幅広い職種や業務で活用できる実践的な内容が多く含まれています。
ビジネス分析の分野では、データ活用を含む現在・過去の分析と予測分析が主な出題内容となり、現代のビジネス環境で重要視されているデータドリブンな意思決定スキルが問われます。
BARは汎用性が高く、監査法人、事業会社、コンサルティングファームなど、様々な業界で活かせる知識とスキルを習得できる科目です。
- ビジネス分析:40~50%(予測分析、財務分析)
- 技術的な会計と報告:35~45%(高度な会計処理、報告要件)
- 州および地方自治体の会計:10~20%(政府会計、公会計)
ISC(情報システム及び統制)
ISCはIT監査やデータガバナンスに関する専門知識を問う選択科目であり、デジタル化が進む現代のビジネス環境において重要性が高まっている分野です。
出題内容は、**情報システム・データ管理が35~45%、セキュリティ・機密保持・プライバシーが35~45%、SOC業務における検討事項が15~25%**となっています。
ISCの特徴は、記憶と理解のスキルレベルが55~65%と高い比率を占めていることです。
これは他の科目と比較して暗記要素が多いことを意味しており、IT関連の専門用語や概念の理解が重要となります。
AUDの知識、特に内部統制に関する理解が前提となるため、AUDを学習してからISCに取り組むことが効率的です。
ISCを選択する受験生は、IT監査担当者、データエンジニア、情報セキュリティ担当者としてのキャリアを目指す方に適しています。
| 出願分野 | 出題比率 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 情報システム・データ管理 | 35~45% | データガバナンス、システム開発 |
| セキュリティ・機密保持・プライバシー | 35~45% | 情報セキュリティ、アクセス制御 |
| SOC業務における検討事項 | 15~25% | SOC報告、保証業務 |
TCP(税法遵守及び税務計画)
TCPは税務の専門家を目指す受験生向けの選択科目であり、REGで学習した税法知識をさらに深化させた内容となっています。
出題内容は、**個人の税務コンプライアンスと計画および個人の財務計画が30~40%、法人の税務コンプライアンスが30~40%、法人の税務計画が10~20%、財産の取引が10~20%**となっています。
TCPの特徴は、応用レベルのスキルが55~65%と高い比率を占めていることです。
単純な暗記ではなく、税法の深い理解に基づいた問題解決能力が求められます。
国際税務や複雑な税務計画に関する知識が問われるため、税務の専門性を高めたい受験生に適しています。
ただし、米国連邦税制の専門的な知識が必要なため、日本人受験生にとっては最も難易度が高い選択科目とされています。
- 個人の税務コンプライアンスと計画:30~40%
- 法人の税務コンプライアンス:30~40%
- 法人の税務計画:10~20%
- 財産の取引(資産の処分):10~20%
選択科目の選び方
選択科目を選ぶ際は、将来のキャリア目標、学習効率、試験対策の観点から総合的に判断することが重要です。
最も重要な要素は将来の専門分野です。
財務会計や管理会計のスペシャリストを目指すならBAR、IT監査や情報セキュリティの専門家を目指すならISC、税務コンサルタントを目指すならTCPが適しています。
学習効率の観点では、BARが最も取り組みやすいとされています。
FARとの重複部分が多く、新規学習範囲が限定的なため、短期間での合格が期待できます。
予備校の対応状況も重要な判断材料です。
アビタスやCPA会計学院はBARを推奨しており、教材や講義の充実度が高い一方、TACはTCPに力を入れています。
自分が受講する予備校の得意分野に合わせることで、より効率的な学習が可能になります。
| 判断基準 | BAR | ISC | TCP |
| 人気度 | 86%が選択 | 中程度 | 低い |
| 学習難易度 | 比較的易しい | 中程度 | 最も難しい |
| 新規学習範囲 | 少ない | 多い | 中程度 |
| キャリア汎用性 | 高い | 中程度 | 専門特化 |
| 予備校対応 | 充実 | 限定的 | TACが充実 |
USCPA試験の出題形式と特徴
英語のコンピューター試験
USCPA試験は**英語で実施されるコンピューター形式の試験(CBT:Computer Based Testing)**です。
試験会場のコンピューター画面に表示される問題に対して、マウスやキーボードを使用して解答を入力します。
日本国内では東京(御茶ノ水)と大阪(中津)のプロメトリックテストセンターで受験が可能であり、海外渡航の必要がありません。
試験は毎日実施されており(Continuous Testing)、土日も含めて希望する日時に受験できます。
ただし、座席は先着順で埋まっていくため、受験票入手後は早めの予約が重要です。
コンピューター形式の試験に慣れていない方は、事前にAICPAが提供するサンプルテストで操作方法や画面の感覚を確認しておくことをお勧めします。
また、計算機能はコンピューターに内蔵されているものを使用するため、普段使い慣れた電卓は持ち込めません。
| 項目 | 詳細 |
| 試験言語 | 英語のみ |
| 実施形式 | コンピューター形式(CBT) |
| 日本の試験会場 | 東京(御茶ノ水)、大阪(中津) |
| 実施頻度 | 毎日実施(土日含む) |
| 予約方法 | プロメトリック社のWebサイト |
| 計算機 | コンピューター内蔵の計算機能を使用 |
出題形式
USCPA試験の出題形式は、Multiple Choice(MC)4択問題とTask-Based Simulation(TBS)総合問題の2種類で構成されています。
2024年の新制度移行に伴い、従来のBECで出題されていたWritten Communication(記述問題)は廃止されました。
各科目とも**5つのテストレット(問題群)**に分けられており、テストレット1から順番に解答していきます。
一度次のテストレットに進むと前のテストレットには戻れないため、各テストレット内で十分に見直しを行うことが重要です。
また、新制度ではテストレットの難易度変化(Multi-stage testing)も廃止されており、受験生にとってより予測しやすい試験形式になっています。
各テストレットの終了後には休憩を取ることも可能ですが、一部のテストレットでは試験時間が継続して進行するため注意が必要です。
- MC問題:2つのテストレット
- TBS問題:3つのテストレット
- 各テストレット:前の問題群に戻ることは不可
- 休憩:テストレット間で取得可能
- 難易度変化:新制度では廃止
- 見直し:各テストレット内でのみ可能
Multiple Choice(MC)4択問題
MC問題は4つの選択肢から1つの正解を選ぶ形式であり、USCPA試験の基本的な出題形式です。
全科目で出題され、基本的な知識の理解度を測る問題が中心となります。
MC問題の特徴は、比較的短時間で多くの問題を解く必要があることです。
各科目とも50問から82問のMC問題が出題され、効率的な時間配分が合格の鍵となります。
出題範囲が幅広いため、偏った学習ではなく、すべての分野をバランスよく学習することが重要です。
また、実務に即した実践的な問題が多く出題されるため、単純な暗記ではなく、概念の理解に基づいた学習が必要です。
MC問題では部分点がないため、曖昧な理解では得点につながりません。
確実な知識に基づいて正解を導き出す力が求められます。
| 科目 | MC問題数 | 出題比率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| FAR | 50問 | 50% | 計算問題が多い |
| AUD | 78問 | 50% | 理論問題中心 |
| REG | 72問 | 50% | 暗記要素が多い |
| BAR | 50問 | 50% | 分析問題が多い |
| ISC | 82問 | 60% | IT知識が必要 |
| TCP | 68問 | 50% | 税法の応用問題 |
Task-Based Simulation(TBS)総合問題
TBS問題は実務に近い総合的な問題であり、複数の知識を組み合わせて解決する能力が問われます。
与えられた事例について、数値入力、多肢選択、表の穴埋めなど様々な形式で解答します。
TBS問題の特徴は、単一の知識では解けない複合的な問題であることです。
例えば、財務諸表の作成、監査手続きの実施、税務申告書の作成など、実際の会計士業務に直結した内容が出題されます。
計算にはJavaScriptベースのスプレッドシートを使用し、従来のMicrosoft Excelは使用できなくなりました。
この変更に対応するため、事前にスプレッドシートの操作に慣れておくことが重要です。
TBS問題にはリサーチ問題も含まれており、与えられた資料から適切な情報を見つけ出す能力も評価されます。
- FAR:7問(50%の配点)
- AUD:7問(50%の配点)
- REG:8問(50%の配点)
- BAR:7問(50%の配点)
- ISC:6問(40%の配点)
- TCP:7問(50%の配点)
1科目ずつ受験可能
USCPA試験の大きな特徴の一つは、科目合格制度を採用していることです。
4科目すべてを同時に受験する必要はなく、任意の順序で1科目ずつ受験することができます。
この制度により、働きながら資格取得を目指す社会人でも、自分のペースで学習を進めることが可能です。
最初に合格した科目の受験日から18~36か月以内(州により異なる)にすべての科目に合格すれば、USCPA試験の総合合格となります。
科目合格の有効期限内に全科目に合格できなかった場合、期限切れとなった科目は再度受験する必要があります。
学習順序の推奨パターンは、FAR → AUD → REG → 選択科目です。
FARは他の科目の基礎となるため最初に学習し、暗記要素の多いREGは記憶が新しいうちに受験するため後半に配置することが一般的です。
| 学習順序 | 科目 | 理由 |
| 1番目 | FAR | 全科目の基礎となる |
| 2番目 | AUD | FARの知識を前提とする |
| 3番目 | REG | 暗記要素が多いため後半に |
| 4番目 | 選択科目 | 専門性を最後に固める |
USCPA試験の合格基準と結果発表

合格点
USCPA試験の合格基準は、各科目とも99点満点中75点以上で合格となります。
これは絶対評価の試験であり、他の受験生の成績に関係なく、自分の得点が75点を超えれば合格となります。
人数制限がないため、理論的にはすべての受験生が合格することも可能です。
この点は、相対評価で合格者数が制限されている日本の公認会計士試験とは大きく異なる特徴です。
75点という合格ラインは決して低くない基準であり、全体の約75%程度の問題を正解する必要があります。
ただし、問題の難易度による配点調整が行われるため、正答率と得点は必ずしも一致しません。
重要な問題ほど配点が高く設定されているため、基本的で重要な問題を確実に正解することが合格への近道となります。
- 合格点:75点以上(99点満点)
- 評価方法:絶対評価
- 合格者数:制限なし
- 配点調整:問題の難易度により実施
- 重要問題:高配点が設定される
- 合格戦略:基本問題の確実な正解が重要
合格発表(スコアリリース)
USCPA試験の結果発表は、受験日から約3週間後にNASBA(National Association of States Boards of Accountancy)のWebサイトで確認できます。
スコアリリースと呼ばれるこの結果発表は、定期的に決められた日程で実施されます。
合格の場合は75点以上のスコアが表示され、不合格の場合も具体的なスコアが表示されます。
不合格の場合には、各出題分野別の成績も表示されるため、次回受験に向けた学習計画の参考にできます。
結果判明後、不合格の場合は期間を開けることなくすぐに再受験の申し込みが可能です。
ただし、同一科目の再受験には一定の待機期間が設けられている場合があります。
合格した科目については、合格証明書が発行され、ライセンス取得手続きの際に必要となります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表時期 | 受験日から約3週間後 |
| 発表方法 | NASBAのWebサイト |
| 合格表示 | 75点以上のスコア表示 |
| 不合格時 | 具体的スコアと分野別成績 |
| 再受験 | 結果判明後すぐに申込可能 |
| 合格証明書 | 合格後に発行 |
科目合格の有効期限
USCPA試験の科目合格には有効期限が設定されており、この期限内にすべての科目に合格する必要があります。
有効期限は州によって異なり、18か月、30か月、36か月のいずれかに設定されています。
最初に合格した科目の受験日を起点として、有効期限がカウントされます。
例えば、30か月の有効期限の州で2024年1月にFARに合格した場合、2026年7月までに残りの3科目にすべて合格する必要があります。
有効期限を過ぎて失効した科目は再度受験が必要となり、以前の合格実績は無効になります。
新試験制度への移行期間については、特別措置を実施している州もあります。
ワシントン州、グアム、ニューヨーク州、モンタナ州、アラスカ州では、2024年1月1日時点で有効な科目合格の実績を2025年6月30日まで延長しています。
- 有効期限:州により18~36か月
- 起点:最初の科目合格の受験日
- 失効時:該当科目の再受験が必要
- 延長措置:移行期間中の特別措置あり
- 管理方法:科目ごとに個別管理
- 計画重要性:戦略的な受験スケジュールが必要
USCPA試験の難易度と勉強方法

難易度と合格率
USCPA試験の合格率は科目により異なりますが、概ね50%前後で推移しています。
2024年の実績では、TCP(税法遵守及び税務計画)が73.91%と最も高く、次いでREG(税法及び商法)が62.61%、ISC(情報システム及び統制)が58.00%となっています。
一方、**FAR(財務会計)は39.59%、BAR(ビジネス分析及び報告)は38.08%**と合格率が低く、これらの科目の難易度の高さを示しています。
**AUD(監査及び証明業務)は45.79%**で中程度の合格率ですが、日本人受験生にとっては特に難しい科目とされています。
合格率が50%前後と聞くと易しい試験のように感じられるかもしれませんが、受験資格に学位要件と単位要件が設けられているため、受験生のレベルが一定以上に保たれていることが高い合格率の要因です。
実際の難易度は決して低くないことを理解しておく必要があります。
| 科目 | 2024年合格率 | 難易度評価 | 日本人の傾向 |
|---|---|---|---|
| TCP | 73.91% | 低(専門特化) | 選択者少ない |
| REG | 62.61% | 中 | 得意(計算多い) |
| ISC | 58.00% | 中 | IT知識次第 |
| AUD | 45.79% | 高 | 苦手(理論中心) |
| FAR | 39.59% | 高 | ボリューム大 |
| BAR | 38.08% | 高 | 応用力必要 |
公認会計士試験や簿記1級との比較
USCPA試験と日本の資格試験を比較すると、学習時間や出題範囲に大きな違いがあります。
日本の公認会計士試験の標準学習時間が3,000~4,000時間であるのに対し、USCPA試験は1,000~1,500時間程度で合格可能とされています。
これは、USCPA試験が実務レベルの基本的な問題を幅広く出題するのに対し、日本の公認会計士試験はより深く専門的な知識が求められるためです。
簿記1級との比較では、簿記1級の学習時間が500~800時間程度であることを考慮すると、USCPA試験はその約2倍の学習量が必要です。
ただし、USCPA試験には英語力も必要であるため、単純な学習時間だけでは比較できない側面もあります。
出題形式の違いも重要な要素です。
日本の試験は記述式や計算式が中心ですが、USCPA試験は選択式と総合問題の組み合わせで、コンピューター操作に慣れる必要があります。
- 日本公認会計士:3,000~4,000時間
- USCPA:1,000~1,500時間
- 簿記1級:500~800時間
- 出題レベル:実務的な基本問題
- 特徴:英語力が必要
- 形式:コンピューター試験
必要な英語力
USCPA試験で求められる英語力は、TOEIC 600~700点程度が目安とされています。
ただし、会計専門用語の理解が最も重要であり、一般的な英語力よりも専門分野での語彙力が合格を左右します。
リーディング力が最重要で、問題文を正確に理解し、選択肢の微細な違いを読み取る能力が必要です。
一方、スピーキングやリスニングの能力はほとんど必要ありません。
USCPA試験の英語は比較的平易な表現が使われており、複雑な文法や高度な語彙はあまり出題されません。
会計英語に特化した学習を行うことで、一般的な英語力が不足していても合格は可能です。
多くのUSCPA予備校では日本語教材を用意しており、英語に不安がある方でも段階的に学習を進めることができます。
英語力向上のコツは、日常的に英語の会計記事や財務諸表に触れることです。
| 英語力レベル | TOEIC目安 | 学習への影響 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 上級 | 800点以上 | 非常に有利 | 英語教材活用 |
| 中級 | 600~700点 | 標準的 | 専門用語強化 |
| 初級 | 500点以下 | やや不利 | 日本語教材活用 |
勉強時間と勉強方法
USCPA試験の標準的な学習時間は1,000~1,500時間ですが、個人の背景により大きく異なります。
会計知識がある方は短縮可能で、日本の公認会計士や簿記1級取得者であれば700~900時間程度での合格も可能です。
効率的な学習方法は、講義視聴→テキスト読込→問題演習→復習のサイクルを繰り返すことです。
特に問題演習の比重を高めることが重要で、全学習時間の60~70%を問題演習に充てることが推奨されます。
科目別の学習戦略も重要です。
FARは仕訳スキルの習得、AUDは理論の深い理解、REGは暗記と計算の両立、選択科目は専門性の強化に重点を置きます。
社会人の学習計画では、平日2~3時間、休日5~8時間の学習が標準的です。
この場合、約1年間での全科目合格が現実的な目標となります。
独学は困難とされており、専門予備校の活用が合格への近道です。
| 背景 | 学習時間目安 | 期間目安 | 重点ポイント |
|---|---|---|---|
| 会計士レベル | 700~900時間 | 8~12か月 | 英語慣れ重視 |
| 簿記2級レベル | 1,000~1,200時間 | 12~15か月 | 基礎固め重視 |
| 初学者 | 1,200~1,500時間 | 15~18か月 | 体系的学習 |

まとめ
USCPA試験は2024年1月の新制度導入により、必須3科目と選択1科目の計4科目構成に変更され、受験生にとってより戦略的な受験が可能になりました。
FAR、AUD、REGの必須科目はすべての受験生が合格する必要があり、それぞれ異なる特徴と攻略法があります。
FARは全科目の基礎として最初に学習し、AUDは深い理解を重視し、REGは暗記要素を効率的に習得することが重要です。
選択科目はキャリア目標に応じて選択でき、BARは汎用性が高く最も人気があり、ISCはIT分野の専門性を、TCPは税務の専門性を高めることができます。
合格基準は各科目75点以上で、科目合格制度により働きながらでも取得可能な資格です。
学習時間は1,000~1,500時間程度が標準的で、専門予備校を活用することで効率的な学習が可能です。
USCPAはグローバルビジネスで高く評価される国際資格であり、会計・監査・税務の専門知識と英語力の両方を証明できる価値ある資格です。
新制度の特徴を理解し、自分に適した選択科目を選び、計画的な学習を進めることで、必ず合格を達成できるでしょう。
これからUSCPA試験に挑戦される方は、まず信頼できる予備校での説明会に参加し、具体的な学習計画を立てることから始めてください。
あなたのUSCPA取得への挑戦を心から応援しています。













